血圧が高ければ絶対に治療をしなければならないのでしょうか?血糖が高ければ無理やりにでもHbA1cを7%未満にすべきなのでしょうか?治療の目標値は全員同じで良いのでしょうか?それは違うと私は考えます。
オーダーメイド治療とは、十人十色であるリスクファクター(危険因子)を徹底した情報管理で分析し、個々人に合わせた目標を設定して健康寿命を延ばすために治療にあたることを我々はそう呼んでおります。
具体的には、血液検査や健診だけでなく、その方の社会的背景(職業・家族構成など)や生活習慣(喫煙・飲酒など)、遺伝的素因(家族歴)、過去の病歴(既往歴・アレルギー歴など)。そして日々の身体診察に加え、動脈硬化・認知症・骨密度をきちんと把握するための検査、癌の早期発見を目的とした検査を併せ、それらの情報を統合して考慮することで個々人に合わせた目標を定めます。
また、それらの情報を分かり易くまとめ、誰が見てもすぐにリスクが評価できスタッフ間で共有できるよう工夫したカルテ作りもしております。
健康寿命を延ばし、いつまでも元気でいるためにはどうしたらよいのでしょうか?
健康≒介護の不要な状態と考えた場合、介護が必要になる原因の多くは①脳血管疾患②認知症③骨折④老化ですが、重要なことはそれらが予防・早期発見可能だということです(認知症も早期発見で進行を抑制することが出来ます)。
予防をするためには上記にある徹底した情報管理でオーダーメイドの治療を行い、日々の変化にいち早く気付くことだと考えます。
また、癌も寿命を縮める大きな要因となりますので、癌の早期発見にも努めてまいります。
医療費が増加する一方のこの時代には予防医療が必要だと考えますが、病気になって治療をするために受診する「病院」で予防はできません。
「かかりつけ医」できちんと日々の管理を行うことが重要だと私は考えます。
私は臨床研修を終了後、福岡大学筑紫病院(福岡大学病院の分院)の第二内科(血液・呼吸器・糖尿病科)に最初に所属しましたが、そこの病院には内科系の科が我々以外に循環器科・消化器科しかありませんでした。そのため心臓と消化器以外の患者さんは全て当科が担当することとなり、総合内科としての道を歩むこととなりました。
その後島根県の最西端にある益田市の赤十字病院に転勤(糖尿病科に所属)しましたが、そこは赤十字以外に大きな病院が無く、医師も不足していたため夜間当直では患者さんが子供だろうが怪我だろうが一人で何でも初期対応をしなければならないところでした。
大分の病院では内科医が自分ひとりで、日南のクリニックでも患者さんは様々な症状で受診するため、いわゆる「総合診療医」としての経験を積むことが出来ました。
宇城総合病院でも外来担当日には総合内科医として勤務しておりました。
以上のように、「呼吸器・糖尿病」を中心としながらも「総合診療医」としての経験を積んできたため「かかりつけ医」として患者さんのあらゆる健康問題に対応し、地域医療に貢献できると考えております。
当院は無床診療所であり入院施設はありません。そのため患者さんに入院が必要な状態となった時には病院との連携が必要となって参りますが、当院は熊本メディカルネットワークに登録しており他病院との連携がスムーズにできる体制を整えております。メディカルネットワークとはクリニックと病院や施設をつなぐシステムで、インターネットを通して患者さんの紹介をすることができ、検査データもネットを通じて閲覧することが可能となっております。
その他、メディカルネットワークでは各病院で受けたこれまでの検査や処方を当院で見ることができるため、かかりつけが病院から当院に変更になった場合や、病院を退院してきた場合に当院にいながら経過を見ることが可能となっております。
また、私は宇城総合病院出身であり、当院がその病院の目と鼻の先にあるという立地的な観点からも協力体制は整っております。更なる利便性を高めるためにも患者さんには基本的にメディカルネットワークへの登録をお勧めしております。